PART 1 経営入門編10人以上の会社は委員会制に
~部門の目標だけでなく、会社全体のことを考える場をつくろう~
縦横のマトリクス組織にする
経営計画は、部門最適ではなく、会社の全体最適を求めるものです。中小企業の場合、縦割りの部門別組織では、全体最適を担当する専任部門がありません。
そこで部門横断の全社的な組織として「経営委員会」(または「経営計画作成委員会」)をつくります。社員全員で経営計画に取り組むことを示すことによって、部門間の壁を取り除くのです。
会社のそれぞれの部門は、自分たちのミッションや利益を達成することを第一目標にしています。そうすると会社全体のミッションや利益が社員にみえなくなり、部門の間には壁が出きかねません。だから社員が10人以上になったら、目的に沿った横断型の委員会をつくるべきなのです。
たとえば「採用委員会」をつくり、各部門から集まったメンバーが採用担当を兼務します。実際に入社希望者は、その会社に入るかどうかを、電話に出た人の応対や会社の雰囲気で決める場合も少なくありません。そのためにも、各部門に採用委員会のメンバーがいるようにして、社員全員が採用について自覚する必要があるのです。
部門長も平社員も一緒に委員会に参加する
同様に、顧客満足度について考える「CS委員会」や、商品改善の活動について考える「改善委員会」をつくります。工場がある会社なら「環境整備委員会」を、最近重要性が強調されている「情報保護のための委員会」を設けてもいいでしょう。当然、経理、営業、総務担当がわけ隔てなく参加するようにします。
小さい会社にこそ、こうした委員会組織が必要です。その仕事をするための専任部門をつくる余裕がないからです。委員会のメンバーは、各部門での地位の上下と関わりなく選んでかまいません。ただ部門長クラスの人が一人いると、意見のとりまとめがしやすくなります。特に経営委員会は、その目的からいっても幹部が顔を揃えることになります。
ただし、委員が集まるだけの会になったら成果は得られません。委員会を実行するようになって、何がどのように変化したのかを各委員会がしっかりと把握しておきましょう。
会社のことを考える仕組みをつくる。
経営のヒント
表彰式を設けてやる気を引き出そう
委員会のメンバーに選ばれると、社員は「ただでさえ忙しいのに仕事が増えてしまった」と思うかもしれません。そこで委員会活動について表彰制度もつくりましょう。
たとえば改善委員会の提案で、社内ネットワークに顧客クレームを掲載する電子掲示板をつくって全社で情報共有し、その結果クレームが減少したとします。そのときは改善委員会を表彰したり、そのアイデアを出したメンバーに対して金一封を出します。
表彰制度の内容は経営委委員会で決めてもいいし、「表彰委員会」を設けてもいいのです。
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