PART 4 決算診断編四期分の貸借対照表を比較する
~貸借対照表の各勘定科目についても、四期分の推移を把握しておこう~
まず純資産の増減を確認する
四期分の貸借対照表については、左の図のようにまとめるとみやすくなります。一番右には前期に対する当期実績の増減分を入れ、数字の増減をみやすくします。
さて、主な勘定科目について、数字の見方を簡単に説明していきます。
最初に、純資産の増減を見ます。
純資産は資本金、資本剰余金、利益剰余金の合計で、借金と違って返す必要のない資金(自己資金)です。中小企業では増資をする場合はほとんどないので、利益剰余金、つまり会社に最後に残った前期の利益が増えたときに純資産も増えます。よって、純資産が増え続けていれば、利益を出し続けていることになります。
一方、純資産が減っていれば、損失が生じていることになります。過去の利益や資本金を取り崩して返済にあてている状態ですから、これが続くと自己資本が減り続けます。最後にゼロかマイナスになれば、実質的に破産状態です。
一般的に中小企業では現金預金が主な運転資金となります。現金預金の残高をみると、経営状況も把握できます。極端な話、現金預金がゼロになると会社経営はできません。
現金預金が少なくなる理由として、売上が増えていない、変動費や固定費がかかり過ぎている、売掛金を回収できていない、買掛金の支払いに追われている、借入が多額で利息の負担が大きいなどのケースが考えられます。
売上や利益と関係なく、資金バランスの関係で現金預金が少なくなる場合もあります。
もちろん運転資金は減っているよりも増えている方がいいので、金額だけでなく増減もみます。前期より大きく減っていたら、原因を確かめるようにします。
借入金が増えるということは、利息返済額も増えるということです。現金預金が減少する理由になるので確認しておきます。
売掛金の増減は、損益計算書の売上高とあわせてみます。売上が伸びれば売掛金も増えるのが普通ですが、回収が遅れた結果として売掛金が増えると、現金ショートにつながる危険があります。
買掛金も損益計算書の仕入とあわせてみます。仕入が増えれば買掛金が増えるのが普通ですが、支払いが滞っているのなら問題です。
なお支払手形についても、買掛金と同様のことがいえます。
売上や利益がそれほど変化していないのに棚卸資産が増えていたら、デッドストックになっている可能性があります。在庫状況を確認しましょう。
棚卸資産の四期分を比較しよう。
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