経営計画策定の心得ダウンロード
2012年 5月 10日
経営計画策定の心得ダウンロード
2012年 5月 10日
~決算書の数字から自社の格付ができる付録のCD-ROMを活用しよう~
「格付」とは、企業を評価する基準となるもので、金融機関では融資を行う上での信用力を「与信格付」と呼びます。企業が融資を受ける際、金融機関がその企業を判定するために用いるものです。この格付により融資の可否や金利が決定されます。
格付は大体12~15項目にランク分けされており、各金融機関により異なります。また格付の要素は、定量要因と定性要因の2種類から成り立ちます。 まず、定量要因とは数量的に表せるもので、財務指標を中心とした分析です。主な項目は、安全性項目・収益性項目・成長性項目の3つです。基本的に、これらは決算書をもとに判定されます。したがって、よい決算書を作成することが重要となります。
次に、定性要因とは数量的には表せないもので、金融機関が市場動向、競合他社の状況、経営計画、経営者などを分析してから評価をします。これらは決算書には反映されませんから、営業担当者や支店長が判断することになります。よって、日ごろの取引状況や人間関係が大切になってきます。
中小企業では、金融機関による融資が企業経営を大きく左右します。したがって、いかに自社が強い企業であるか、いかに魅力ある企業かを示すことが重要となってきます。
各金融機関は取引先すべてに対し、独自の基準にしたがって格付を行っており、一概に何をもって判断しているかは、はっきりとはわかりません。
しかし、決算書が格付において重要な意味をもっていることは間違いありません。 特に、最近の金融機関は決算書の質をみているようです。3~4期連続の決算書を比べてみることが重要です。
決算書とともに重要なのが社長の理念、意欲、経営方針です。現状では業績がいまひとつの企業であっても、明確な経営方針と経営計画があれば、金融機関に融資を受けられる場合はあります。結局のところ、現在の自社の状況を知り、明確な経営計画を立てておく必要があるといえるでしょう。
左の国は付録のCD-ROMの使い方です。手順に沿って、決算書の数字を入力してください。最終的には、自己資本比率、借入金依存度、債務償還年数、流動比率、インタレスト・カバレッジ・レシオ(返済能力)、売上親模(年商)、売上高経常利益率、総資本経常利益率、売上増加率、ROA(総資産利益率/当社-基準値)に関する数字が出てきます。
これらを通して、金融機関が自社をどう判断しているかを知り、改善すべき点に力を注ぎましょう。
2012年 5月 6日
~社長にヒアリングすることで、会社の将来性がわかる~
最後に、社長自身にヒアリングすることによる経営診断を紹介しておきます。ミッション、ビジョン、バリューといった経営理念や、決算書などの数値指標で会社を評価することも大切ですが、中小企業の場合は、特に社長自身が会社そのものといってもいいほどです。社長が会社をどうとらえているかを知ることは、その会社の現状と未来をみることになるのです。
左の図でとり上げた経営診断は、社長や幹部を相手に会計事務所の担当者がインタビューをして、その答えをもとにして分析するようにつくられたものです。 分析結果は点数化します。それらを表でみることで、自分の会社はどこが強く、どこが弱いのかを社長自身も知ることができるようになっています。
質問項目は「アカウンティング」「リーダーシップ」「マーケティング」「プロダクション」「マネジメント」の5つのカテゴリーに分かれています。 アカウンティングについての質問は、会計数字が経営に十分活かされているかを診断するものです。 リーダーシップについての質問では、チームのメンバーがいきいきと目標に向かって活動しているかどうかがわかります。
マーケティングについての質問は、新しい顧客を獲得するためのツールを整備しているか、効果的なビジネスを創出しているかどうかをみます。
プロダクションに関する質問は、顧客に提供するサービスの質の高さ、競争力のある商品をもっているか、また顧客や社員同士など関係者間のコミュニケーションが良好かどうかを知るためのものです。
マネジメントについての質問では、社長が社員に具体的かつ定量的な目標を出し、なおかつ、それを達成するための役割や責任をもたせ、自立した行動ができるようにしているかどうかがわかります。
こういう経営診断に興味のある方は、会計事務所に一度相談してみるといいでしょう。
2012年 5月 6日
~どんな会計事務所をパートナーにするかで企業の将来性がわかる~
会計事務所とのお付き合いは、どんなきっかけで始まったのでしょうか。たいていの場合、「銀行の紹介」「友人の社長の紹介」「親の代からの引き継ぎ」「顧問税理士紹介サイト」からなどが多いことでしょう。私は仕事柄多くの会計事務所を知っていますが、必ずしもすべてがすばらしいとはいえないのが現状です。「経営指導」や「経営計画指導」とホームページや看板に書いてあっても、手続き作業しかできない税理士さんもたくさんいるのです。
ここではどんな会計事務所を選んだらよいのかをアドバイスします。ちなみに、会計事務所も税理士事務所も呼び名は違いますが、やっていることは同じです。最近では、税理士法人として、何人かの税理士さんがパートナーシップを組んでいる例も多くありますが、基本的には同じです。ただ、監査法人は上場企業の監査や上場に向けてのコンサルなどが中心なので、中小企業の場合、一般的な会計事務所で十分でしょう。
そこで会計事務所の場合、お医者さんのように「眼科」「歯科」「内科」「外科」などというように診療科目が決まっていないので、わかりにくいのは当然です。昔は、税務署出身の税理士さんなら、申告のときに融通がきくということもあったと聞きますが、最近ではどうでしょうか。
確かに、元税務署所長などというのは迫力のある肩書きですが、せいぜいその影響力も2年くらいでしょう。ただ、ビジネスを成功させようと思うのであれば危ない申告を通そうと考えないで、正しい節税と申告をお勧めします。
一番大事なことは、会計事務所とどのような関係をもちたいのかということです。単に「記帳」を頼みたいのか、「申告」だけしてくれればよいのか、本書で触れたような「経営計画の作成のサポート」までやってもらいたいのかによって、選び方は違ってくるのです。
ただ、会計事務所はあくまでもサポーターであるということを忘れないでください。プレーをするのは社長自身なのです。
先々の相続税が心配でどの税理士さんに対策をお願いしようか迷った地主のMさん。3人の税理士さん個々に次の質問をしました。
「今、有効な相続対策は何でしょうか?」
1人目の税理士さんはテクニックを盛んに話し、2人目の税理士さんは質問には答えず、自分がいかに有名で本をたくさん書いているかを自慢しました。
3人目の税理士さんは「もっとも有効な相続対策は子供の教育です!」と強調し、その後若干テクニックのお話をしたそうです。
あなたは誰を選びますか?
Mさんは3人目の税理士さんに即決したそうです。
2012年 5月 6日
~変動費や固定費が多い場合は、その要因を図表から探ろう~
ストラック図表を描いてみると、いくつかのパターンに分けられます。
理想的なのは、変動費も固定費もそれほど多くなくて経常利益がしっかり確保できている場合です(左の図の[1])。もちろんきっちり黒字を出しています。
ところが変動費はそのままで、固定費が多くなっていたとします。そしてついに固定費が限界利益と同じになって経常利益を食いつぶしてしまった状態が、左の図の[1]です。損益分岐点が囲の一番下まで達し、売上高と等しくなっています。決算上は黒字でも赤字でもない状態で、このとき前項で紹介した「収益率」は100%になります。
さらに固定費の比率が大きくなって限界利益を超えると、赤字会社になります(図の[3])。中小企業の場合、固定費が多くなる理由として最も多いのは人件費が多くなっていることです。こんなときは労働分配率(104ページ)を計算して、人件費が増えすぎていないかどうかを確かめます。
売上高に占める変動費の比率が大きくなると限界利益が小さくなり、損益分岐点を下方向に押し下げます。変動費が多い理由としては、調達原価の上昇などがあります。
変動費と固定費が両方とも多くて赤字になったら、何のために会社をやっているのかわかりません。新設法人で初期投資がかかるなど、一時的な要因で解決のめどが立つのならともかく、そうでなければ、会社を続けるかどうかも再考した方がいいような状態です。
黒字で利益が出ているうちは、変動費、あるいは固定費が多くても、問題は表面に出てこないものです。しかしながら、とりわけ費用がかかっている部分の原因を探り、見直しをすることでさらなる改善を図ることができます。
赤字会社の場合は、ストラック図表を描いてみることで、何に問題があるかがみえてきます。変動費が多ければ仕入か外注加工費の見直しを、固定費が多ければまず人件費の見直しから始めてみましょう。
ストラック図表を比較すると、会社の状況の違いがよくわかります。
特に過去の自社のストラック図表を並べてみると、次第に変動費率が増えていたり、人件費率が下がっていたりする様子が、大きな違いとなって表れます。
他社のストラック図表と比較すると、会社ごとに特色があり、業種が違えば、経費の構造が基本的に違っていることがわかります。
単純に会社同士で収益構造のよしあしを比較するのは難しいといえるでしょう。
2012年 5月 6日