~生産活動だけでなく、顧客と関わる活動のすべてがプロダクションだ~

会社の利益を損なコミュニケーション不足

マーケティングが「お客さんを入り口まで足を運ばせて、契約にいたらせる」機能であるとすれば、プロダクションはその後を引き継ぐ機能です。定義としては「最初の売買成立に始まり、その後の顧客との関係全般にわたる活動すべて」となります。顧客と継続的な関わりをもつための活動や、商品生産とそれに関わるすべての過程が含まれます。
プロダクションを考えるときに忘れてはならないのが、「利益を生むための作業」であるということです。そして利益を生むことができるかできないかを左右するのは、そこに関わる人間のコミュニケーションカです。
顧客が望んでいるものと関係なく、生産部門が勝手に考えてものをつくり始めたら、利益は損なわれます。顧客と営業担当の間、あるいは社内の営業部門と生産部門の間でコミュニケーションがとれていないときに、このような問題が発生します。そして問題が経営者層に伝わらないと、いつまでたっても改善されないのです。
顧客との関係、社員同士の関係、部下と上司の関係、社長と社員との関係、すべてが利益と直結しているのです。

生産のプロセスを改善し続ける

プロダクションにも3原則があります。原則1は「コミュニケーションで相乗効果を生み出すこと」です。今述べたようにコミュニケーションが不足すると問題が発生するし、逆にうまくいけば、1+1が2ではなく3かそれ以上の効果を発揮します。
原則2は「生産プロセスを常に改善すること」です。例として、マクドナルドのハンバーガーは売上が一時落ち込んだことがあります。生産コストを下げて生産効率を上げた結果、味が落ちたためです。そこでつくり置きをやめ、注文を受けてからつくることにしました。つまり、お客さんから注文があったときにつくり始めるという改善をほどこし、収益を上げることに成功したのです。
原則3は「今あるビジネスをよりよくすること」です。これは会社を支えている主力商品を常に見直し、より付加価値をつける方法を考えて、利益を確保するということです。

Point
プロダクションは利益を生むための機能であり、常に改善し続けなければならない。
経営のヒント
アカウンティングの3原則とは?

アカウンティング(会計)の目的は、会計数値を計器のように活用して「黒字会社」をつくることです。黒字の原点は会計にあり、といっても過言ではありません。

アカウンティングの3原則は「キャッシュフローがすべての基本」「会社の会計数字を理解すること」「常に明日を計画すること」。
特に3つめの原則を実現ものが、経営計画であることはいうまでもありません

2012年 5月 6日

~経営計画の戦略を考えるときは、マーケテイングを念頭に置く~

黒字経営の3原則

経営計画をつくる上でのキーワードは、マーケティングとプロダクションとアカウンティングを相互に作用させることです。
マーケティングとは顧客を呼び込み、契約にいたらせることです。プロダクションとは生産におけるすべての機能で、マーケティングのあとを引き継ぐ行為です。つまり、販売に始まり、顧客との関係継続を通して問わりあう機能のことです。アカウンティングとは会計のことで、ビジネス全分野から経営者が必要とする情報を収集する機能のことです。
熾烈な市場競争の中で、絶対に忘れてはならないのがマーケティングです。製品をつくるスケジュールは立てても、マーケティング機能がなければ、商品を世に知らしめたり、売上を伸ばしたりすることもできません。マーケティングとは「お客さんを自分のビジネスの入り口まで連れてきて、契約にいたるまでのすべての過程」 のことです。お客さんは空から降ってくるわけではありません。いかにしてお客さんを集め、契約にいたらせるかを経営計画での重要課題のひとつにしましょう。

契約が成立しなければ何もしなかったのと同じ

マーケティングには3つの原則があります。
原則1は「販売を成立させるまでは、何もしなかったのと同じこと」です。どんなに人を集めて商品の説明をしても、契約にいたらなければ何もしなかったのと同じなのです。
原則2は、会社と顧客の「双方にとって価値ある取引をすること」です。お客さんだけ満足しても利益は得られません。会社だけが満足したらお客さんが離れます。どちらにしても会社経営は続かなくなります。
原則3は「販売は幾何学的に成長させること」です。売れたらそれだけで満足せずに、1個売ったらさらにもう1個というように、絶えず売上の増えるしくみが必要だということです。その一例がアマゾン・ドット・コムです。このサイトで本を買うと「この本を買った人は 『○○』も買っています」と、その本の読者が興味をもちそうな別の本を紹介しているのです。こうしたマーケティング戦略は、特殊な会社の仕事ではなく、あらゆる会社にとって必要な機能となります。

Point
マーケティングとは「集客から契約にいたるまでのすべての過程」である。
経営のヒント
経営戦略モデルMPAとは?

まず大事なのは、この3つ(マーケティング、プロダクション、アカウンティング)が密接な関わりをもたなければならないということです。その連携がしっかりしてればいるほど、利益は大きくなるのです。これが「経営戦略モデルMPA」による利益の創出モデルです。

具体的には、たとえば営業部門と生産やアフターフォローの部門の連携がよく、常に問題解決が進んでいること、その状況が会計数字で的確に把握できていることです。

2012年 5月 6日

~全社的な戦略方針と各部門の目標・方針などを決めよう~

単年度計画の前に経営理念を固める

経営計画づくりでは、どんなことを決めていくのでしょう。「経営計画の基本体系」として左の図にまとめてあります。
最初に、単年度計画の作成に入る前に、会社の活動の前提となる経営理念を確立しておかなければなりません。
まずミッションとバリューを言葉にしてください。自分たちの基本的な考えや、何のために存在しているのかを明らかにするためです。
経営理念のうち、バリューは一度確立したら骨格は変わらないものです。ミッションも会社の存在理由や社会とのかかわり方が変化しない限り、変わることはありません。
それをもとに、将来こうなりたいという「中期経営ピジョン」を決めます。数字目標を決めるのは利益、売上、社員数ぐらいで、あまり細かく設定する必要はありません。
ピジョンは、長期ビジョンや短期ビジョンもあっていいのですが、ここでは5年後に向けた中期経営ビジョンの作成としました。毎年少しずつ5年後のビジョンを変化させて策定します。その中で、「経営環境の分析」をします。自分たちが得意としていること、さらに今、どんな課題に直面しているかを確認します。ここで重要なのは、自分たちの事業の将来をしっかり把握することです。今、5億の事業をしていて、将来30億の会社にしたいのであれば、大きく事業指針を変えなくてはならないということもみえてきます。

一番重要なのは社長の経営戦略方針発表

経営計画づくりにおける社長の最も重要な役割は、「当期経営計画の作成の手順」 の中にある「経営戦略方針発表をすることです。
どの商品を伸ばし、どのエリアを開拓するのか。こうした営業利益の源泉については、社長が大きな方針の決定をします。
会社の中の雰囲気や風土についても、課題があればそれを明らかにして、改善するための方針・方策を打ち出します。
このような基本方針を社長が発表した後に行う当期経営計画の作成の手順や、各部門からの発表と方針についてなどは、これから説明していきます。

Point
まずは社長の経営理念と戦略方針を
固めることからスタートする。
経営のヒント
経営理念は完璧でなくてもいい

経営理念をどうつくったらいいのかと、頭を悩ます社長は多いことでしょう。
もともと経営理念は普遍性を目指すものです。それだけに「完全なものにしたい」と考えてしまいます。しかし最初は稚拙でも、どこかで聞いたようなものでもいいのです。自分の考えを言葉にすることで、社員と会話ができるようになります。そのことが大切です。

もしうまく表現できない部分があれば、少しずつ変えて完成へと近づけていけばいいのです。その意味では、経営理念の文言を変えることをためらう必要はないのです。

2012年 5月 6日

~部門の目標だけでなく、会社全体のことを考える場をつくろう~

縦横のマトリクス組織にする

経営計画は、部門最適ではなく、会社の全体最適を求めるものです。中小企業の場合、縦割りの部門別組織では、全体最適を担当する専任部門がありません。
そこで部門横断の全社的な組織として「経営委員会」(または「経営計画作成委員会」)をつくります。社員全員で経営計画に取り組むことを示すことによって、部門間の壁を取り除くのです。
会社のそれぞれの部門は、自分たちのミッションや利益を達成することを第一目標にしています。そうすると会社全体のミッションや利益が社員にみえなくなり、部門の間には壁が出きかねません。だから社員が10人以上になったら、目的に沿った横断型の委員会をつくるべきなのです。
たとえば「採用委員会」をつくり、各部門から集まったメンバーが採用担当を兼務します。実際に入社希望者は、その会社に入るかどうかを、電話に出た人の応対や会社の雰囲気で決める場合も少なくありません。そのためにも、各部門に採用委員会のメンバーがいるようにして、社員全員が採用について自覚する必要があるのです。

部門長も平社員も一緒に委員会に参加する

同様に、顧客満足度について考える「CS委員会」や、商品改善の活動について考える「改善委員会」をつくります。工場がある会社なら「環境整備委員会」を、最近重要性が強調されている「情報保護のための委員会」を設けてもいいでしょう。当然、経理、営業、総務担当がわけ隔てなく参加するようにします。
小さい会社にこそ、こうした委員会組織が必要です。その仕事をするための専任部門をつくる余裕がないからです。委員会のメンバーは、各部門での地位の上下と関わりなく選んでかまいません。ただ部門長クラスの人が一人いると、意見のとりまとめがしやすくなります。特に経営委員会は、その目的からいっても幹部が顔を揃えることになります。
ただし、委員が集まるだけの会になったら成果は得られません。委員会を実行するようになって、何がどのように変化したのかを各委員会がしっかりと把握しておきましょう。

Point
部門横断の委員会を作り、部門を離れて会社のことを考える仕組みをつくる。
経営のヒント
表彰式を設けてやる気を引き出そう

委員会のメンバーに選ばれると、社員は「ただでさえ忙しいのに仕事が増えてしまった」と思うかもしれません。そこで委員会活動について表彰制度もつくりましょう。

たとえば改善委員会の提案で、社内ネットワークに顧客クレームを掲載する電子掲示板をつくって全社で情報共有し、その結果クレームが減少したとします。そのときは改善委員会を表彰したり、そのアイデアを出したメンバーに対して金一封を出します。

表彰制度の内容は経営委委員会で決めてもいいし、「表彰委員会」を設けてもいいのです。

2012年 5月 6日

~誰が何をするのかを明確にしないと、目標達成はできない~

責任と権限を明確にする

経営計画で忘れてならないのは、会社の組織図をつくることです。「うちは数人しかいないから」と思わないでください。社員が3人以上であれば、組織図は必要です。
組織図をつくることによって、誰が誰のサポートをするのか、各部門の目標は何なのか、などがわかります。しかし組織図づくりは、部門を書き出して線でつないで終わりではありません。各部門や個人がどのような権限をもち、責任を負っているのかを明らかにすることが目的です。
ですから組織図をつくるときに、部門や個人の責任と権限についても合わせて書き出していきます。また、組織図や「職務記述書」のような文書は、現状に沿って毎年つくり直していく必要があります。
※職務記述書とは、各人の職場の目的や目標、仕事の範囲を書いたものです。

どんな人に地位を与えるのか

ここでの責任とは、組織の中で「その部門や社員は何を達成するのか?」ということです。具体的には「新規顧客を開拓すること」であったり、「新商品を開発すること」「財務データを完成させ、経営管理情報を作成すること」だったりします。
権限には2つあり、ひとつ目はどれだけの人間を動かせるかということです。2つ目の権限とは、予算やお金の裁量権です。トップである社長が両方の権限をもっていることはいうまでもありません。では社長はどんな人に、それなりの責任と権限を与えるべきなのでしょうか。それはチームの目標達成のために、メンバーのモチベーションを高められる人です。
経営理念や目標などに関する社長の考えをよく理解している人であることも大切です。そうでない人が部門の中で社員をまとめる立場になると、会社はバラバラになります。
中小企業では一人の社員が何役も兼ねることが多いので、部門や社員の権限と責任を記述するのは大変です。そこで、たとえば「お客さんからクレームが入った場合は、5万円の経費まで自分の判断で使ってよい」というように、金額によって責任と権限の範囲を明確にしていくのもひとつの方法です。

Point
3人以上の社員がいる会社には組織図をつくり、責任と権限を明確にしよう。
経営のヒント
「論功行賞」はお金で解決する

社員の処遇を決めるときは、まず「お金で解決する」という方法をとるのがいいでしょう。営業で売上に大きく貢献したから、平社員から課長にしようというような組織づくりは絶対にしないことです。稼いだ営業マンは「手柄」を給与に反映すればいいのです。その結果、平社員が課長より給料が高くなってもかまいません。

ただ将来の会社の組織をつくり、支えるのは、やはり社長が地位を与えた人です。原則的には、地位が上がれば給与も上がるという給与体系にしておくほうがいいでしょう。

2012年 5月 6日

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