行動計画編

~セルフマネジメントノート(3)――今期の方針と経営理念~

会社の基本的な考え方を徹底して理解させる

セルフマネジメントノートの共通ページのパート2には、「今期の方針」および「経営理念」という全社員が知っておくべき会社の基本的な考え方を掲載しています。
「今期の方針」は、一般的にいえぼ経営計画のうち行動計画、または行動日標にあたるものです。「経営理念」はミッション、ビジョン、バリューです。それぞれの会社にはそれぞれの行動計画や行動目標、経営理念があるので、それらを載せればいいでしょう。
ポイントは「行動の背景となる会社の基本的な考え方」を示すことです。形式にこだわる必要はありません。
弊社では「100のフィロソフィー」に会社の基本的な考え方をまとめています。その見出しには「挨拶」「会社の成長」「価値観の共有」「サラリーマンはいらない」「上司と対等な立場でいる」「チームワーク」「プライド」「リーダーシップとは」「私の会社」などがあります。なお、その内容の一部を左の図に載せておきました。

内容が明確であればどんな形式でもいい

このほか「基本的な考え方」と題して、次のような内容のそれぞれについて箇条書きで示しています。
「成功10訓」「お客さまとのコミュニケーション」「安定顧客」「社員全員が知らなければならない数字」「私たちが必要としている社員」「ビジネスに成功する人の3つの秘訣」「真のリーダーとは」「給与/賞与について」「グッドジョブ賞」「社長と夢を語る会」「経営数字用語」「マーケティングの7P」‥
このうち「社員全員が知らなければならない数字」は「自分(部門)の売上目標数字、今日までの自分(部門)の売上数字の累計、自分(部門)が今年獲得したお客さんの数、これらの3つにおける目標と昨年との比較、部門全体の売上数字と自分(メンバー)の貢献度、全体の中での自分の順位」です。
また、会社の沿革や、社外の人に社長を紹介するときにどのように話すかということも、社員が知っておくべき基本事項として載せています。

Point社長の考えを社員に伝える方法は
いくらでも考えることができる。
経営のヒント
リーダーシップとは何か

リーダーシップとは、その人がいなくてもメンバーが目標に向かって行動するように導くことです。
社長がいなくなったとたんに手をとめる、サボりだすというようでは、リーダーシップを発揮しているとはいえません。

会社においてリーダーは社長だけではありません。
上司はもちろん、社員同士もお互いにリーダーシップを発揮できるようにしておく必要があります。
目標に向かって相互に動機づけをし、影響を与えあうことがリーダーシップだからです。社員一人ひとりが何らかの形で周りに影響を与えているのです。

2012年 5月 6日

~セルフマネジメントノート(4)――会社のルールを徹底して浸透させる~

「行動計画」のつくり方を掲載

パート3には、会社のルールが載っています。会議の進行のルール、畜類のルールといった具体的な場面での社員のあるべき行動を示しています。「会社のルールブック」と考えればいいでしょう。
当社の場合は「経営計画のつくり方」をここに載せています。社員一人ひとりが行動計画をつくるためのルールと手順を次のように説明しています。

(1)「明確化する」「向上させる」「目指す」などのアバウトな言葉を使わない
(2)何を、どのように、いつまでに、どのくらいやるのか、その方法を書く
(3)自分が上司ならどんな質問をするかを常に考えて書く
(4)目標は具体的に書き、他部門の人がみてもわかるように必ず数字を入れる

また「やってはいけないこと」として「金品の授受の禁止」「顧客情報漏洩禁止」「会社情報漏洩禁止」「顧客誘引の禁止」「消費者金融への出入り禁止」「社員間での贈答の禁止」などを掲げています。その会社のルールを載せていけばいいのです。

さまざまな決まりに目を通す習慣をつける

日報や週報の書き方、電話の応対の仕方、会議の進行方法などの日常業務に関するルールも、明文化してパート3に入れておくと便利です。新入社員が入るたびに説明する必要もなく、覚えていない社員にはルールブックをみてもらえばいいのです。
社外の人に上司、会社、社長が批判されたときの対応も決めておきます。これも社員によっていうことがバラバラでは困るからです。社長の考えにもよりますが、「まず謝る」「ことの真偽、相手の真意を確認する」「うわさ程度であればはっきり否定する」「批判された人と社長にそのことを伝える」などはルールとして定めておくといいでしょう。
電話で会社までの道順を相手に説明する方法もここに書いておきます。新入社員でもそれを読み上げればいいし、訪問客も簡潔な説明を聞けるので迷わずに済みます。こうして社員は、会社のルールを常に目でみることができるようになります。

Point
日常業務からクレーム処理まで、さまざまなルールを明文化しておく。
経営のヒント
社員が自分のビジョンを書く

会社だけでなく、社員にもビジョンがあったほうがいいでしょう。自分が将来仕事を通じてこうなりたいという思い出もいいし、「今年のビジョン」を掲げてもいいでしょう。それを1枚の紙にまとめるのです。

そのときには仕事のビジョンと個人(家庭)のビジョンの両方を書いたらどうでしょう。仕事がうまくいかなければ家に帰っても悩むし、家庭がうまくいかないと仕事にも影響します。本当は会社と家庭の境目なんてないものです。仕事の喜びが個人の喜びにつながるようなビジョンなら理想的でしょう。

2012年 5月 6日

~セルフマネジメントノート(5)――スケジュール管理し、行動のムダをなくす~

優先課題を記入して1日の終わりにチェックする

行動計画を実現するかどうかは、実際の行動にかかっています。そして、スケジュール表は、行動を自分で管理するためのものです。
社内情報ネットワークのなかに、社員用のスケジュール表をつくっている会社もありますが、これはアナログの方が使いやすいようです。
週間スケジュール表の基本的な使い方は、左の図にあるとおりです。この使い方も「会社のルール」ですから、前述のパート3に明記しておくといいでしょう。
スケジュール表の右側は一般的なダイアリーで1週間の予定、つまり会議、研修、健康診断、展示会等々、会社や仕事に関わるイベントを書きます。
このページは、社員が自分で好きなように活用できるように全体的に自由度が高くなっています。左の部分に、その週の社員本人にとっての優先課題(「セミナー準備」「企画書提出」など)を書くようにします。
優先事項には順位をつけ、終わったらチェックを入れます。
「今週は訪問件数、目標○○件」などと書いておいてもいいし、普通の「ToDoリスト」や備忘録としても使えます。

2カ月分のスケジュールがひと目でわかると便利

週間スケジュール表のほかに、月間スケジュール表をA4サイズ1枚にまとめます。今月分と来月分の2カ月分を、当月を先にレイアウトしてプリントアウトしたものを毎月全社員に配ります。
社員はそれを半分に折りたたんでホルダーに入れておきます。
これがあると、向こう2カ月間の会社のスケジュールがひと目でわかります。
各部門の活動やイベントの予定を全社員が把捉でき、社員が部門を越えた、全社横断的な考え方ができるようになることも期待できます。
同様にして、年間スケジュール表も作成します。これは年度の最初に確定している内容を記入して配ればいいでしょう。

Point
行動計画を社員が実践しやすいようにスケジュール表を工夫しよう。
経営のヒント
内部管理は事業活動ではない

経営がうまくいき始めると、会社の内部管理を熱心に始める社長がいます。
確かにそれも会社にとっては必要なことですが、内部管理は事業活動ではありません。

経営者の最も大事な仕事は、事業を伸ばしていくことです。そのためには顧客の要求を知り、ニーズに基づいた新たな事業領域を見つけていかなければなりません。
つまり会社の将来の仕事を見つけるのが社長の仕事です。

内部管理やマネジメントは、組織体制を工夫したり、それが得意な人に任せたりして、社長は本来の仕事に力を入れるべきです。

2012年 5月 6日

~経営戦略上、攻めるか、守るかの決断を社長が下すのはこのとき~

6カ月分の修正計画をつくろう

1年分の経営計画をつくり、それに基づいた行動がスタートしてからも、定期的な見直し作業が必要です

1月にスタートしたら、3月末、6月末、9月末と四半期ごとに目標と実績のずれを必ず確認します。この確認作業をする場が、経営計画の反省会になります。
1月には1年間の経営計画ができていますが、3月末にそれまでの3カ月間の実績を踏まえて、その後6カ月間(4月~9月)の修正計画をつくります。
6月末になったら4月から6月分の修正計画と同期間の実績とを照らし合わせた上で、またその後6カ月間(7月~12月)の修正計画をつくっていきます。
9月末になると、やはり直前の3カ月分の実績を踏まえて、10月から翌年3月までの修正計画をつくります。10月以降になると、次年度の1年間の経営計画づくりがスタートします。
この流れが左の図のスケジュール表です。修正計画が3カ月分ずつ重なっています。次の四半期分の3カ月だけでなく、その先の3カ月分まで見通しを立てることがポイントです。
経営計画と実績の違いをみながら、このようなサイクルで見直し作業を繰り返していきましょう。

守りに入ろうとすることも、やはりリスクを伴う

実績が目標に達していなかったときには、問題点を洗い出していきます。
目標に届かなかった分をどう取り戻すかについては、経費を削って利益を確保するか、積極的に広告宣伝などに力を入れるなど打って出るか、どちらの対応も考えられます。
打って出るには追加経費が必要になりますし、リスクも伴います。しかし「攻撃は最大の防御」というとおり、あえて攻めに出ることで劣勢を挽回できることも少なくないのです。
一方経費を削ることは、オーソドックスな防御策のようですが、これもやはりリスクを伴います。
売上が落ちてきたときに経費を削ると、事業そのものが縮小してしまうことにつながるからです。
どちらを選択するかは、まさに社長の決断にかかってきます。

ミッション、ピジョンに照らし合わせて決断を

ただその決断を下す前提として、すべての社員からの情報が、常に社長まで伝わってきていなければなりません。
今、市場で何が売れているのか。その中でなぜわが社の商品は売れていないのか。競合会社の状況はどうなっているのか。あ客さんの声はどうなのか。
社内で得られるこうした情報を社長がきちんと吸い上げて、現場の状況を正確に把握することによって、初めて正しい経営判断が可能になります。
そして決断を下すときには、必ず会社のミッションとビジョンに照らし合わせるようにしましょう。
売上の回復のため、また利益を確保するためにとった行動が、自分たちが本来やるべきことからはずれてしまったら、そもそも会社を続けていく意味が失われてしまうからです。

Point
3ヶ月ごとに経営計画を見直したら、問題点を探り次の対応を決断していく。

2012年 5月 6日

行動計画編
四半期決算ごとに見直しをする
行動は自分で管理する
会社のルールは常に確認を
社長の考えを社員に浸透させる
一冊にすべての情報を集める
携帯できる経営計画をつくろう
全員参加の経営計画を進めよう
「オープンブック」で目標の共有を
行動計画のつくり方はこうする

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88,000円~経営計画策定 経営計画Light

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