経営計画入門講

~社員みんなが経営に参加する風土づくりは、採用がポイントだ!~

「そこそこの社員」でもいい

会社経営には、経営理念に共感してくれる社員が必要です。そういう社員こそが「技術力のある人」よりも、会社にとってより大きな力となるのです。そもそも中小企業で「非常に優秀な人」を採用しようとしたら、大きなリスクが伴います。年収2000万円で人を連れてきても、給料分以上に働いてくれればいいのですが、見込み違いで「はずれ」のこともあるからです。
年商3億円の会社には2000万円のリスクはとれません。だから中小企業は「そこそこの人」しか集められないのです。実際に、今は求人難というより人材難の時代です。そこそこの人を集めるのも大変です。
そして、実際に成果を出すのは、価値観を共有できる仲間と一緒に仕事をするときで、気の合わない人と一緒ではダメなのです。
気の合うというのは、ここでは仕事の目標を共有できることです。その相乗効果で、社員は能力以上の力を発揮してくれるのです。

価値観が同じ人と働く大切さ

左の図のような3人がいたとします。Aさんは能力が非常に高く、会社の仕事にも非常に関心をもっています。このような人は、もちろん即採用です。
CさんはBさんより能力はありますが、会社の文化や基本的な考え方を共有できません。一方Bさんは、能力はそれほどではありません。しかし会社の価値観や社長の考え方に共感を示しています。

あなたはどちらの人を選びますか?

私なら迷わずBさんを選びます。スキルは勉強や努力次第で伸ばせます。しかし人の価値観や考え方はなかなか変えられません。
Cさんは、自分の気に入った仕事はバリバリこなしてくれるでしょう。しかし会社の文化や社長の考え方と合わないので、いずれ不平不満分子になって、ササッと辞めていきます。
Bさんは、社長やほかの社員と価値観を共有しているので、相乗効果を発揮できます。ここでいう相乗効果とは、「1+1=2」ではなく、「1+1=2以上」 の力になることです。逆に相性が悪い同士だと「1・5以下」にしかなりません。相乗効果を高めることが重要なのです。

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Point
「社長の考えに共感してくれる人が集まれば、「全員参加」の経営が出来る。
経営のヒント
会社に合う人とは「社長と考え方が合う人」

会社の価値観は経営理念に共感してくれる人は、どうしたら見分けられるでしょう。

答えは簡単で、社長が自分と考え方が合う人を選べばいいのです。
単に趣味が同じということではありません。釣りやゴルフの話で盛り上がるということでもありません。
会社の仕事や「ミッション」に対して共感したり、お金に対する価値観などが同じだということです。

一方で社長と考え方が合わない人は、いくら「できそうな人だ」と思っても、会社に入れない方が無難といえます。

2012年 5月 6日

~経営数字の公開が、経営計画を成功させるカギとなる~

経営数字を示さないと社員の気持ちが離れていくことも

「オープンブック」とは、財務藷表などの経営数字を社員に公開することで、経営手法のひとつとして知られています。
経営計画におけるオープンブックは、会社の業績や利益計画の目標数値などを公開することを意味します。なかでも売上や利益など損益計算書に載っているような数字を公開するのは、経常計画が成功するかどうかを左右するといってもいいほど大切なことです。

なぜ公開するといいのでしょうか。

それは社員が会社の状況を知ることで、目標を共有するようになるからです。
今の状況がいいのか、悪いのかもわからないのに、「ともに戦おう」と社長が口でいうだけでは、社員は戦う気になりません。
知らないということで、疑心暗鬼を生むこともあります。「結局会社が儲かっていて、自分たちは働かされているだけじゃないか」などと考えるようになってしまうのです。「赤字になったら、経常数字を教えたくない」という社長の気持ちもわかります。しかし、社員が社長と経営理念を共有していて、「自分たちががんばらなければ」と思ってくれさえすれば、何の心配もいらないのです。だから会社の数字目標は全社員が共有し、部門の目標はそのメンバーで共有するべきなのです。

すべてを公開する必要はない

ただし、すべての数字を社員に公表するわけではありません。
損益計算書のなかでも、販売管理費については、たとえば毎月1000万円という形で公表し、内訳まで出す必要はありません。
社長が交際費を使ったり、あるいは思わぬ出費があったため、その合計が100万円になったとします。何のために使ったかは、社長がわかっていればいいことです。「社長が接待費を使った。コピー機を買い換えた」という内容まで社員が知る必要はないのです。
実数でオープンにできなければ、予算の合計数字のみでもOKです。貸借対照表の数字も、社員に公表する必要はありません。ただし幹部には、社長が知っている数字はすべて知らせます。

Point
社員には可能な限り会社の情報(数字)を知らせるようにしよう。
経営のヒント
オープンな態度でいますか?

上司と部下が対等な立場で、「仕事の目標」「それを達成する方法」「お客さんが抱えている不満の分析」などについて議論していますか?
本気で意見を交わせないような職場環境では、企業競争に勝ち残っていくことはできません。

自由な発言やオープンな態度で互いに接することのできる環境を育てなければならないのです。
オープンな態度というのは、上司から部下への一方通行ではなくて、相互のものであることをきちんと理解しておきましょう。

2012年 5月 6日

~テーマ別に戦略を立て、具体的な行動目標を決めていこう~

行動計画は会社、部門、個人でそれぞれつくる

利益計画を立てても、その目標を実現できるかどうかは行動次第です。そこで行動計画が必要になります。
行動は、会社としてすること、部門ごとにすること、そして個人がすることと、それぞれに内容が異なります。したがって行動計画も会社、部門、個人ごとにつくります。
まず行動日標の大枠として、「何を」「どのターゲットに」「誰が」「どのように」……という「ビジョンと戦略」をつくり、大枠の数字目標(売上など)を明確にします。それを「マーケティングの方針」と「プロダクションの方針」に落とし込みます。そして、それぞれの方針を行動に移すために「戦略目標」「数字目標」「行動目標」を決めていきます。
マーケティングは、前に説明したように集客から契約にいたるまでのすべての過程です。プロダクションは契約から生産の過程を含む顧客との関わりです。
以上の作業を表にまとめると、左の図のようになります。これは部門の行動計画の場合です。会社全体、そして個人の場合も、基本的な構造は同じになります。

戦略目標をもとに数字目標と行動日標を決める

この図の例では、まず「A商品の販売」というテーマを「ビジョンと戦略」として掲げています。マーケティングの方針については、「DMの強化」「WEBサイトからの引き合いの増大」「既存顧客への新商品の販売」という3つの戦略目標を立てています(左側の列)。それぞれに対応する数字目標(中央の列)と行動目標(右側の列)がその横に並んでいます。
プロダクションの方針では「コストの削減」「品質の改善」「生産スピードを上げる」という戦略目標を立てています。それぞれ右にみていけば、対応する数字目標、行動日標がわかります。
大事なのは、このような戦略目標、数字目標、行動目標を明確にした上で、行動に移すということです。途中で目標と現実とのずれが生じたら、理由を探り、修正していきます。

Pointマーケティング、プロダクションのそれぞれ
戦略・数字・行動目標を決める。
経営のヒント
行動計画の戦略の作り方

全社的な行動計画の戦略を策定するには、いくつかのポイントがあります。

一番大きな枠組みは、どの市場を狙うのか、そしてどの商品(ないし商品の組み合わせ)で行くのかです。
これをさらに細かく落とし込むと、得意先となるのはどんな人たちか、高級品で行くのか、値頃感で訴えるのか、どこにどんな形態の店舗を展開するのかとなります。
社内的なしくみ、人員体制も考える必要があります。
利益計画と同様に行動計画でも、このような基本方針は社長が決めなければならないのです。

2012年 5月 6日

~月ごと、年ごとの売上推移では、みのがしがちなものもある~

年計表で視覚的に動きを理解する

経営に関する数字は、その多くが決算のために出したものです。売上や諸経費は各事業年度単位で算出し、新年度が来るとまたゼロからのスタートとなります。ところが年度単位でなくて、月ごとの動きや、長期的な傾向をみたい場合もあります。たとえば売上を1年ごとでなく1カ月ごとに区切ると、短期的な増減がわかります。
次に、その月までの直近12カ月の数字を合計して、月順に並べてみます。1月分は前年2月から今年1月までの合計、2月分は前年3月から今年2月までの合計……ということです。それを折れ線グラフにしてみます。
このようなグラフを年計表といいます。年計表では事業年度に関係なく、過去1年間の実績がどのように推移しているかの動きがわかります。1ヵ月ごとの短期の表だと今月は増えた、その翌月は減ったと一喜一憂することになりますが、年計表では今上昇中なのか、下降中か、横ばいかという中長期的な傾向がみえてくるのです。

 

傾向に合った対策をとろう

左の2つの表を比べてみます。上の表では、AとBという2つの商品が売上を競っていますが、どちらもCの商品よりは常に多くなっています。ところが、下の年計表をみると、Aは徐々に売上が下がっているのに対して、Cはずっと上昇傾向を続けていることがすぐにわかります。またAの商品はピークを過ぎ、代わってCがこれから主力商品となりつつあると推測できるのです。
商品の売上高だけでなく、いろんなものを年計表にできます。人件費、販売管理費、固定費、借入金、リース料支払いなど、費用の傾向も視覚的にとらえることが可能です。
年計表の形は、上昇や下降、横ばいだけでなく、いきなり落ちてまた上昇傾向に入るなど、いくつかのパターンがあります。たとえば過去に営業所を減らしたりしたことがあると、人件費や固定費にその影響が出ているのを如実にみてとることができます。
大切なのは、表が変化した理由を考えて対策をとることです。たとえば、主力商品の売上が少しでも下落傾向に入ったら、次の商品開発を始めなければならないのです。

Point
年計表をつくることで、長期的な傾向が視覚的にわかるようになる。
経営のヒント
年計表は長期にわたってみる

年計表にしても、前の項で紹介した借入金やリースの計画書にしても、会社の内部資料としてつくるので、決算書のように公表する義務はもちろんありません。
特に件計表は何を自分たちが知りたいかによっていろんな内容のものがつくれます。
1年分だけでなく、3年、5年と傾向をみていくことが大切です。

また、過去1年分の累計数字の代わりに過去5年分、10年分……を合計した数字を表にすると、より長期にわたった大きな変化の様子がわかるようになります。

2012年 5月 6日

~借入金とリースを一覧表にして、月々の支出額を明確にしよう~

借入金返済とリース料支払の計画一覧表でキャッシュを把握

借入金返済とリース科支払いに関しては、1年間の支出予測額を出すだけでなく、月別借入金計画書を事業年度の最初につくると便利です。
銀行ごとの借入金の明細書はあっても、それを1本化している会社はほとんどありません。しかしそれでは、どの月にどれだけのお金を返済に回さなければならないかがわかりません。
先々の返済予定が不明だと、会社全体の資金計画を立てにくくなります。ですから経営計画の一環として、月ごとの返済額がわかる計画書をつくることが望ましいのです。
ポイントは月ごとの借入金残高の合計、返済額の合計、支払い利息の合計の3つです。返済額の合計がわかると、その月の会社のキャッシュフローも把握しやすくなります。
新たに借入をする計画があれば、その月から返済額の合計が増えます。逆に返済が完了した後は、資金繰りが楽になります。
あるいは一時的に返済が重なったら、ほかで出ていくお金を抑えたり、返済が少ない時期には、ほかのことにお金を回したりなどの計画が立てられるようになります。

支払い状況がひと目でわかれば新たなリース契約が立てやすい

リース科支払いも同じようにひとつの表にまとめることで、毎月の支払い額のリース残高合計がわかります。
決算時には、リース全体の数字を一覧表にします。どんなリースを利用しているか、その合計はいくらかがひと目でわかる表をつくることによって、月々必要となるお金がいくらかもわかるからです。
今は月々合計30万円のリース代金を払っていても、6カ月後には20万円に減ることがわかるかもしれません。
その分新たなリースを始める計画を立てたり、借入をしたりすることができます。
あるいは設備や物品を購入するのであれば、6カ月後まで我慢すれば、資金ショートしなくてすむという予測も成り立つのです。

Point
複数の借入金やリリースを一覧表にまとめて、キャッシュフローの確認を
経営のヒント
リースにすると、ここが便利!

100万円の設備を購入すると、当然のこととして100万円の現金がなくなります。
しかし、その年の経費として落とせても、せいぜい10万円から20万円程度で、70数万円は減価償却資産として計上されてしまいます。

ところがリースを組むと、100万円の支払いが月々2万円たらずで済む上に、支払った額はそのまま経費として落とせます。導入した設備の所有権はリース会社にあるので、会社の資産にも計上されません。
ただし、レンタルではないので、途中でやめたいと思っても残金は払い続けねばなりません。

2012年 5月 6日

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